Doctor's Network

"夢をつなぐ" Doctor's Network

J

名前J
所属大学病院
診療科総合診療科(緩和ケア)
障害の内容黄斑変性症による視覚障害(5級)
障害の発生時期医学部入学以前

これまでの経緯

中学生の頃から視力の低下は若干ありましたが、日常生活には不自由ありませんでした。視力の低下が進んできたこともあり、医学の道をめざすようになりました。医学部に入ってからは、講義にしっかりでることで、試験勉強にあまり負担がかかりすぎないようにしました。

医師として働く上での工夫や配慮

持ち歩く道具として拡大鏡と、タブレットを使用しています。労働環境としては、電子カルテの導入により、カルテを読むことや書くことの負担が大幅に減りました。拡大機能を使うことで対応はできています。今後の視力の状況によっては、読み上げ機能の導入も考える余地がありますが、費用やどの端末にいれるかなどの課題があります。画像の確認は、必要に応じてほかの医師にお願いしています。大学病院では読影医もいるので、適宜確認してもらっています。採血や点滴確保は研修医や看護師にお願いしています。夜間の当直は、視力の問題でリスクもあるので免除してもらい、そのかわりに自分ができるほかの業務を行っています。他の医療スタッフとなるべく丁寧にコミュニケーションをとるように務めています。

医師を目指す方や医師を続けることに不安を感じている方へのメッセージ

医師になってから視力が悪化した場合:視力の程度にもよりますが、医師の仕事を続けることはできると思います。どのような形で自分が医師の仕事を続けたいか、今までの経験をどう繋げていくかを考えなくてはいけないと思います。「視覚障害をもつ医療従事者の会(ゆいまーる)」の他の先生方の活躍を見ると、苦労されている先生もいますが、それぞれ色々と工夫されたり、診療科を変えたり、サポート体制の工夫、病院組織としての理解などがうまく整えば、医師として働き続ける可能性は十分あると思います。
これから医師を目指す場合:医師免許について障害を理由とする欠格条項もなくなっています。入学試験に合格して、やる気があって、大学側がある程度配慮してくれれば、国家試験さえ合格できれば、道は色々とあると思います。弱視だから医師になれないと、否定的に考える必要はなく、むしろ身体的な障害がある分、患者の気持ちに近づけるメリットがあります。患者の立場に立って考えられる医師は大きな強みです。